- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1999/08
- メディア: 文庫
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ぼくともう一人で(たぶん)ささやかに続いている小松左京祭り。
今回は処女長篇『日本アパッチ族』。
廃墟に放逐された男が、鉄食人種アパッチ族になって
リベンジするという大枠の話は知っていたが、
実際読んでみると、いやあこってり味の大盛りSF風味。
国家権力に追いやられた弱者が鉄人になって
やっつけるというのは、胸のすく気分。
一個ネタバレさせてしまうが、
アパッチ族は鉄、金属を食べると不純物を吸収して
その排泄物が純度の高い鉄とは。
んーん、やられた。
かつてスチームパンクって言葉があったけど、
それをもじってアイアンパンクってのはどうだろう。
ヘビメタパンクバンドみたいだが。
戦闘機も戦車も弾丸も鉄だから、
瞬く間に喰われてしまう。
荒涼たる風景は、とても大阪とは思えず、
ぼくの好きな映画『マッドマックス2』と似たような世界。
深作欣ニが存命で映画化したら、軍隊との戦闘シーンは
もろ『仁義なき戦い』なんだろうな。
政府や軍、新聞社、テレビ局などマスコミの対応って
この小説が書かれた頃と本質的に何も変わっていないような気がする。
同じ陸軍砲兵工廠跡地やアパッチ族をテーマに
開高健が『日本三文オペラ』を書いている。
酔狂な方は、読み比べてみるのも面白いだろう。