- 作者: 平川克美
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/09/09
- メディア: 単行本
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台風のせいか、激しく降ったり、止んだり。
合間に銀行へ。メインバンクで作り直したキャッシュカードを
ディズニーキャラにするかどうか訊ねられ、
一瞬、プーさんカードにしようかと思ったが、
通常のデザインにした。
『移行期的混乱 経済成長神話の終わり』平川克美著の感想メモ。
人口減少など衰退一方のように思われる日本。
じゃあどうする。
「成長戦略」一辺倒じゃなくって「非-成長戦略」の構築が必要だと。
「あらたな労働観・価値観の再構築」が必要だと。
作者は過去の日本人の働き方を振り返る。
宮本常一を引きながら、こう述べている。
「(職人たちは)生活のために金がほしくて働くのだが、ここに息づいている
労働倫理は、ただ金もうけのためでもなく、他者の評価のためだけでもなく、
自らが自らを叱咤し命令し、納得するような仕事観から出てくるものだ」
アーレントいうところの労働を仕事化して
「生き方に寄り添った活動」
とみなしていた。
六〇年代までは、その仕事観が「共有」されていたが、
七〇年代「「消費の時代」の幕が開くと」
労働は消費するための賃金を得るための手段に代わっていった。
「九〇年代以降の日本は、都市化、民主化、消費化の頂点に向けて
ひた走ってきたつもrが、前世代の築いてきたものを文明の進展と同じ
スピードで蕩尽してきたかのようにさえ思えるのである」
少しでも給料や待遇の良い労働−それに越したことはないが−で
休日は余暇を楽しむというスタイルから
好きなことを仕事にして余暇なんて不要なスタイルというのも
増えてきたような気がするのだが。
下町の町工場の経営者の息子に生まれ、
傍で経済や商売を感じ取った作者は、やはり街場(by内田樹?)の実践論者で
書物や研究から学究を極めた学者とは、当然違ったリアリティがある。
昨今めっきり少なくなった辛口オヤジの一人。
アーレントの労働と仕事の定義については、拙レビューを参照されたし。
『今こそアーレントを読み直す』仲正 昌樹著