- 作者: 竹内敬人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/03/20
- メディア: 新書
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『人物で語る化学入門』竹内敬人著の読書メモ。
「人類に共通の二十一世紀の目標は、持続可能な社会の構築であろう。
だが二十一世紀を待つまでもなく、化学はすでにその方向を模索し、
実践してきた」
関係ないが、「人類」と「持続可能」がくっつくと、人間様の傲慢さを
感じてしまうんだが。それから、「持続可能」なんだろうか。
日本そしてオレ。
「十九世紀後半に化学工業が勃興し、さまざまな有用な物質を安価に
生産するようになった。それは人類にとって福音であると同時に、時として
問題を引き起こした。フラスコの中で反応が行われる限り、何が生じても
大きな問題はなかった。」
「有用」という言葉も曲者で、何ごともメリット・デメリットがある。
それを天秤にかけてメリット>デメリットであれば、多少の犠牲は止むを得ず
ってスタイルで、企業は儲かって、
消費者、ユーザーであるぼくたちはいろんな恩恵や便利さを享受してきた。
やがて
「農薬の大量散布によって引き起こされる自然破壊・環境破壊」
「フロンによるオゾン層破壊」
などなど「大きな問題」が起きた。
お気楽に言ってしまうと、でもこの問題を克服、クリアしようとして
科学者たちは日夜取り組んでいる。ウィルスとワクチンの終わりなき
戦いのように。
個人的に最もひかれたところ。長く引用。
「放射性同位体14Cは大気中で宇宙船の働きによって微量ながら絶えず
つくられているので、空気中の二酸化炭素はごくわずかながら一定量の
14Cを含んでいる。それを含む二酸化炭素が光合成によって植物体内に
取り込まれるから、植物が生きている限り、植物体内の14C濃度また
一定に保たれる。しかし植物が死ぬと、空気中の二酸化炭素との交換は
止まり、14Cは放射性壊変によってしだいに減少する。14Cが初めの量の
半分になる時間、すなわち「半減期」は約五七三〇年である」
「考古学的試料に14Cがどれだけ残っているかを測定すれば、その試料の
およその年代が測定できる。この「放射性炭素年代測定法」は、
一九四七年にアメリカのリビーによって報告された。
彼はその功績によって一九六〇年にノーベル化学賞を受賞した。
−略−例えば縄文時代がいつから始まったか、といった問題に
議論の材料を提供した」
放射性同位体14Cを取り上げた章には「自然がつけたタグ」と
小見出しがついているが、素敵じゃないか。