ツィス 広瀬正・小説全集・2 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)
- 作者: 広瀬正
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/08/21
- メディア: 文庫
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図書館が年末・年始の休みに入るので
仕事用やら私事用やら、まとめて借りる。
密かな仕事、サンプル用を書き上げて送る。
微調整か、大幅修正か。
広瀬正祭り、『ツィス』を読む。
ツィス音とは「二点嬰ハ音」のことだそうで、
そのツィス音が人々を悩ませる音となる。
さすが工学部出身の元バンドマン。
耳障りな音が蔓延したらというワンアイデアを
ふくらませた作者の創造力にはほんと、脱帽もの。
日本の「パニック小説」では、篠田節子の『絹の変容』が、
一番だと思っていたが、比肩するできばえ。
主人公が耳の不自由なイラストレーター。その恋人が金髪のハーフのモデル。
というのも時代を感じさせる。
ツィス音を遮断するイヤーホンの売り出しが、新聞広告という
これもキャンペーンなどが本格的に展開されるようになった、
広告がキラキラしだした頃だな。
コードのついたヘッドフォンじゃ音楽は持ち出せない云々という箇所がある。
ウォークマンは、まだまだ先だし。
ノイズキャンセリングヘッドフォンもなかった頃。
しかし、本作も含め作者の代表作が立て続けに
直木賞にノミネートされるとは、
この頃の方がなんか柔軟性に富んでいたような気がする。