アースダイバーin新宿

愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史 (ちくま新書)

愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史 (ちくま新書)

昨日はパソコンが不調でメール送信ができなかった。
ネットは使えるので、いろいろケンサクして
試してみて、やっと送れるようになった。


『愛と憎しみの新宿』平井玄著を読了。
最初にゴダールの『ウィークエンド』を見たことが出て来る。
作者は「天啓」といっている。
ぼくも、確か池袋文芸座で見たが、衝撃を受けた。
いまもテレビのニュース映像で玉突き自動車事故を取り上げていると、
『ウィークエンド』を思い出す。
作者が育った新宿二丁目界隈から都立新宿高校など
新宿の個人的な歴史体験から
はじまり、内藤新宿玉川上水夏目漱石など街の歴史へ
とりとめもなく、あるいは即興的に文章が記される。
ちなみに生家は洗濯屋、なんで、洗濯屋ゲンちゃん。という
タイトルを思いついた。
元ネタを知っている人だけ笑って。


ぼくは作者より3年年下ゆえ、しかも地方出身者ゆえ
新宿がアングラで燃えているのには、
遅れてきた青年だった。
風月堂も、アンダーグラウンド蠍座も経験していない。
学生運動華やかな頃の新宿も。
ただ、最初に就職した広告制作会社が新宿二丁目にあった。
なもんで、作者が通っていた「石の家」や「公明酒場」や
「DUG」や「DIG」などのジャズ喫茶には、
行っていたので、当時の街の風景が思い出を通して甦る。
中でも掲載されている新宿南口の写真。
階段を下りるとあった台湾料理店。
かつては、場末というのか寂寥感があった。
いまとは隔世の観がある。
新宿御苑前の薄暗いスナックに連れて行かれたことがある。
元青線とかいうその名残を留める佇まい。
ゴールデン街にも先輩に連れていかれた。
ゴールデン街は、ゴチではなく、きっちり割り勘だった。
まだ売れてない小劇団の女優が
サントリーホワイトの水割りを作りながら、
おっさんと演劇論や芸術論を戦わす。
冬の寒い日、「石の家」へ会社帰りに寄って
焼きそばと木須肉(ムースーロー)と熱燗を頼んだ。
ちびちび酒を注文したら
「まとめて注文しろ」と店の人に怒鳴られた。
1979年。ジャズよりは、フュージョン。
YMO以下のテクノポップやニューウェーブにはまっていた。
針供養で有名な正受院のすぐ先に勤務先はあった。
1階がガソリンスタンドのビル。今は、もうそのビルすらない。


この本を読んだら、若松孝二の初期の映画が見たくなった。


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