再読・初読

蟹工船・党生活者 (角川文庫)

蟹工船・党生活者 (角川文庫)

週末は、宿題もなく、本を読み続ける。
『思想地図vol.5 社会の批評』、『蟹工船・党生活者』小林多喜二著、
『外科室・海城発電』泉鏡花と、脈絡のないのを留守番がてら読み耽る。


『蟹工船・党生活者』小林多喜二著の感想メモ。
『蟹工船』は、何十年ぶりかで読み直す。
ノンフィクションみたいだという感想以外すっかり忘れていた。
いやあ、『蟹工船』を舞台に描かれた群像ドラマは、
資本家vs労働者という階級対立的紋切り型よか、
深作の『仁義無き戦い』を思い浮かべるほど、
熱く生き抜こうとする迫力があった。
いかんせん短い。作者による附記が最後に掲載されているが、
この部分をベースに書き加えたら、良かったのに。
生きていたら、書き加えるかどうか。どうだろう。
プレカリアートのバイブル的扱いをされ、売れたようだが、
純粋に小説としてもイケてる。


『党生活者』は、初読。「遺作」だそうだ。
身を潜めながらも、組合運動の指示やオルグなどに邁進する共産党員、
たぶん作者の分身だと思うが、その日々の活動が克明に記されている。
反社会的だの危険分子だのと追われているし、お腹は空いているのに、
どことなくユーモアを感じさせる文章。これが読んでいて救いとなる。


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