- 作者: 最相葉月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/03/26
- メディア: 文庫
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風が止んでしまったのだろうか。
嵐の前の静けさ。連休前に駆け込みで来るのかな。
ま、結果待ちということで。
寒いんでエアコンの温度を上げて、
『星新一 1001話をつくった人』最相葉月著を読み出す。
元祖ショートショート。
ぼくの後の世代あたりから文庫本で人気が出たんだ。
ぼくは、ほとんど読んだことがない。
友人のすすめで、いきなり筒井康隆からスタートした。
野口英世と同郷でアメリカ留学体験のある父親。
「解剖学の草分けの」父と「森鴎外の妹」の母から生まれた母親。
製薬会社の経営はいまでいうベンチャー企業として一時期は成功した。
さらにチェーンストアを全国に展開するなど、やり手だった。
しかし、官あるいは財閥によって叩かれる。
戦後、会社は傾き、星新一は会社経営から手を引き、作家となる。
そのきっかけが江戸川乱歩。
戦前の東京の山手の文化、エリート教育を改めて知る。
何たって面白いのは、日本のSFの黎明期。
製薬会社では「若旦那様」と呼ばれて、自宅では寡黙だったらしいが、
いったんスイッチが入ると狂気の沙汰となるあたりは、さすがSF作家。
星新一といえば真鍋博のイラストレーションがつきもの。
昔、勤めていた広告会社で某クライアントが真鍋のイラストレーションで
企業広告を出稿しており、原画を見せてもらったことがある。
薄いボードか厚口のケント紙にロットリング(たぶん)で描かれてあり、
−カラーじゃないんだ−そこに、かぶせてあるトレーシングペーパーには、
実に細かい色指定がしてあった。
こりゃ製版屋泣かせだと思った。