明日のPR

『戦略PR』本田哲也著 読書メモ。

PRというと、企業広報やプレス、もしくはPR会社で、
ニュースレリースをまとめたり、パブリシティ展開などで、
マス広告を扱う広告代理店に比べて
なんだか地味という印象があった。


そういえば、小泉総理時代に、自民党が躍進して
バックアップしたPR会社が脚光を浴びたことがあったけど。


ところが、従来のマス広告の効果に疑問が持たれ
ネット広告が台頭したり、不景気を迎えて、
改めてPRがスポットを浴びているそうな。


「同じ商品カテゴリーなのに、「売れているもの」と
「売れていないもの」がハッキリしてくる」
「それは「商品力」とか「宣伝力」の問題」ではなく
「「空気」ができているかどうか」だ。

そして、この「空気」をつくり出すのが、戦略PRだと作者は言う。
ブーム、現象、流行とほぼ同じ意味だ。


広告は、金食い虫だが、PRはそれよかローバジェット。
また生活者もいいことしかいわない広告よりは、
TV、新聞、雑誌で取り上げられた情報の方を信じる。
PR会社が発信元の情報であっても。
PRは広報とかいうけど、広報の「報」は報道の「報」だものね。


この空気とは言い換えれば「カジュアル世論」のことで、
「消費者に「気づき」を与えて、
「買う」理由を生み出す」ことだそうだ。


この「カジュアル世論」をつくる「3要素」が、

「1おおやけ 「公共性」の要素 
2ばったり 「偶然性」の要素
3おすみつき 「信頼性」の要素」

具体的には、どうするのか。こうする。

「1おおやけ 生み出すために 「マスコミ」の活用
2ばったり 生み出すために 「クチコミ」の活用
3おすみつき 生み出すために 「インフルエンサー」の活用」

広告が最近、消費者のハートに突き刺さらなくなったとお嘆きの人は、
一本の矢ならぬ三本の矢、厳密には三位一体の矢ならば、突き刺さると。


「PRと広告の垣根は、どんどんなくなっていく」

そうなんだろうね。広告とSPの垣根がなくなって、
オフライン広告とオンライン広告の垣根がなくなって、で
「PRと広告の垣根」も。
商品に対して売ろうとする距離が近いのが広告、
遠いのがPR。
とりあえず効くのが広告で、じわじわ効いてくるのがPR。

「確かに、なかなか面倒な時代にはなった。
なったが、でもこれはとても面白い時代の幕開けなんじゃないかと思う。
一つのルールに縛られず、「世の中と、どうパートナーを組めるか」を
考える。どんなカジュアル世論をつくって、そこにどんな広告や
プロモーションを組み合わせれば消費者が動くかを考える。
その結果、ブームが生まれれば、また世の中の空気は変わっていく」

さらばセクショナリズムってことで。
PRの仕事につきたい人は、一読をお薦めする。


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