くいくい

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)

『仕事道楽』鈴木敏夫著を読む。
最低のコンディションのもかかわらず、くいくい読める。
徳間書店の編集者だった著者が、『アニメージュ』の創刊にかかわり、
宮崎駿高畑勲と知り合い、アニメ映画をつくり、スタジオまで創設してしまう。
部分部分は、TVや新聞・雑誌などで目にしていたが、通しで読むと、
こうだったのかと思わせるところがしばしば。
徳間康快、もちろん宮崎駿高畑勲らの素顔が見える。
常識や分別とは無縁。ガキがそのまま大人になったような面々とのつきあい。
作者のじゃじゃ馬ならしぶりが見事。


自分用に引用。

「教養の共有の程度は相槌の打ち方にあらわれますから。
「へぇ、なるほど」をくりかえす人っているでしょう。
それではダメだと思う。
相手のことを勉強していれば、違う言い方になるはずだ。
それから、わかりもしないのに、わかったように相槌を打つ人。
これは、ぼくは弱さだと思います。
知らなければちゃんと聞けばいいんです」

そうなんだけど。


組織(企業体)を円滑に動かしていくのは、プロデューサーが要。
クリエイターは看板役者のようなものであるが、
実際のビジネスとなると、たとえば、営業。
どのようなものを作るのか。どこに売り込むか。
果たしてそれはヒットするのか。
幸いに制作が決まれば、人(スタッフ)と金(予算、制作費)と
時間(スケジュール、納期)などの管理。
わがままな現場をいかにのせて、いいものに仕上げるか。
プロデューサーを目指す人には、必読の書。
スタジオジブリは、やはり後継者と目された近藤喜文の早すぎる死が惜しまれる。


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