- 作者: 足立倫行
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 新書
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職業柄、インタビューは、たまにする。
で、幾つになってもうまくない。
うまくならないから、
せめてその人の著作や資料を事前に綿密に読むとか、
インタビューではよく笑おう、相槌を打とうとか。
そんなことを心がけている。
インタビューの名手になる必要はない。
よい原稿が書ければいいのだから。そう、慰めながら。
ICレコーダーは不安なので、カセットレコーダーも用意する。
インタビュー中、メモを取らない方がカッコいいんだけど、
心配性なので、ノートにメモを取る。
速記はできないので、キーワードというか断片を書きなぐる。
後日、そのノートにテープチェックしたものを
色の違う水生ボールペンで書き込む。
文字数がさほど多くない場合は、これを雛形に原稿に仕上げていく。
できれば記憶が新しいうちに。
『悪党の金言』足立倫行著、またたく間に読了。
いまは亡き『PLAYBOY日本版』に掲載された
インタビューから作者が選んだもの。
○保阪正康
○内田樹
○佐藤優
○森達也
○島田裕巳
○田中森一
○溝口敦
○重松清
いやはや、豪華布陣ではないか。
いい意味で一筋縄ではいかないインタビュイーばかり。
インタビューの名手(もちろん原稿も素晴らしいが)である作者が、
いかにアンタッチャブルな部分を聞き出すか。
丁々発止のやりあい。ジャブの応酬。
凡庸なインタビュアーだと、とおりいっぺんのことを聴く。
すると、相手は、力量を見抜いて軽く流す応答で終わってしまったりする。
「好意」を伝えながら、本音を引き出すか。
「きわどい質問」をして「それがうまくいくと、作品としての
インタビューの世界が膨らみ、とても面白い記事になる」
その8本が並んでいる。ただ長いだけではない(400字詰めで30枚だそうだ)。
その人、人柄が鮮やかに再現されている。
ぼく的には、内田樹センセイがなぜ、かようにフェミニズムを叩くのか。
ずっと疑問だったのだが、その答と思しきものが述べられている。
ふだん、書き言葉で理論武装の鎧を着ている面々が
素を見せる瞬間がある。
そこを作者は、逃さずに、さらに脱がせにかかる。
『PLAYBOY日本版』は、確かに金のかかる贅沢な記事が載っていた。
できれば新書版ではなく『PLAYBOY日本版』のサイズで読みたかった。
さらに注文をつけるなら、ノーカット、テープ起こしの原稿が読みたい。
あ、あと、レコーダーをオフにしてから、
いい話が聴けることが多い。あわてて、ノートに書き込んだりする。
最も面白いのは、オフレコの話で、これは、取材者の役得、ご褒美。