なんだかんだ

男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書)

男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書)

なんだかんだで宿題の日々。
社員なら休日出社ってことなんだけど。
気分転換に自転車で三軒茶屋まで。
いい天気だが、帽子と手袋が手離せない。
ようやく紅葉や黄葉が眺められ、
日陰も寒気のせいか黒が濃密に見える。


『男の子のための軍隊学習のススメ』高田理惠子著を読む。
おねえさんが年下の男子に半分おちょくって語りかける、
適度に毒の効いた、小バカにした文体が、いい。
頭に「ねえ、当然、キミは知らないと思うけど、教えてあ・げ・る」がつく感じ。


ええと、当世の若者(特に男子大学生)は、チャラけて、勉強もせず、
おしゃれや不純異性(同性もあり)交遊にかまけて、
挙句の果てに大麻なんか喫って。
その点、お隣韓国の学生さんはどうだ。
きりっとして頼もしい。蹴球だってかなわんわけだ。
やっぱあれだな、徴兵令があるからだな、毅然としてるのは。
と、お思いのオヤジにも読ませたい一冊。
もちろん男子にも。


日本の軍隊、陸軍の場合、帝国大学出身なのに
二等兵など「下級兵士」というのは、欧米ではありえないことだそうだ。
シャバでも軍隊でも欧米はきちんと階級社会になっている。
日本は、ネジレていると。
会田雄次いうところの

「近代国家のなかで日本だけが特殊なのである」
「日本の社会はブルジョア社会でなく封建社会、絶対主義社会である。
支配者は職業軍人である」

このギャップというか、矛盾が、文学のモチベーションとなって
戦争文学が誕生した。


作者は、それに対してこう述べている。

「東京帝国大学法学部出身の官僚たちによる上からの支配が
近代日本をつくったのも事実です。いいえ、戦時中も、岸信介を代表とする
革新官僚たちが日本の総動員体制をつくりあげたわけです。
近代日本は、「支配者は職業軍人」の社会というよりは、まずは、
帝国大学を頂点とする学歴社会として整いました」

東条英機も軍人じゃなくて官僚ととらえた方が、よくわかる。
と書いていたのは、誰だっけ。
実質官僚支配は、いまでも続いているわけだし。
近代日本は、学校教育と軍隊制度の早期建立から成立しているが、
なんか「東京帝国大学法学部出身」の役人が牛耳った、牛耳っていることの功罪は。
作者が取り上げていて未読の戦争をテーマにした作品を読んでみたくなった。


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