毒出し

小銭をかぞえる

小銭をかぞえる

総理大臣がホテルのバーで飲酒するのを安いとかいう発言を
マスコミが取り上げているが、たぶん記者だって利用しているはずで、
どうもこういうゲスな記事が紙面を賑わすのは、いかがなものかな。
それは「庶民に成り代わって」ではないだろが。


例の妊婦受け入れ拒否死亡の事件もそう。
すぐに受け入れ拒否した病院や医師を槍玉にあげようとするが、
それよか医師不足などもっと根源的な問題だと思う。
子どもが生まれた産婦人科も、行きつけの小児科も
跡継ぎは医師になっているが、総合病院に勤務しているそうで、
いわゆる町医者にはなりたくないそうだ。何かと大変だかららしい。


語気が荒立っているのは、『小銭をかぞえる』西村賢太著を読んだせいかもしれない。
いつものようにしょうがない男と女の同棲物語。つーか私小説。
ただし収録されている2編の作品には、自虐的ユーモア(といってしまっていいのか、わからん)の
度合いが増している。ひりつく場面には、人間の愚かさや悪、無情や無常を感じてしまう。
しかし、まあ、こらえきれず暴力をふるってしまうDV男になぜここまで惹かれてしまうのか。
結果的に暴力はふるわないが、その瀬戸際までの昂りや憤懣を
ぼく自身が持っているからなのだろう。
温和な父親、良き夫、善良な一市民、良識ある社会人を日々演じていると、
どうしてもその行為に対して毒が徐々に溜まっていく。
その毒出し、デトックスを西村賢太の本でしているのだろう。
たぶん女性にはウケないだろうが。


以前住んでいたマンションの管理人−イッセー尾形似−は、
ふだんは平身低頭なのだが、ある日、周囲を見渡してから
マンション横に無断駐車していたクルマを蹴飛ばしていた。
いつものことなのか、腹に据えかねたようだ。
偶然、階段を降りてきたら目撃した。
すかさず1階のメールボックスに姿を隠した。


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