スキャット、爽やか

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)

某TV通販のTVCMで地デジフルハイビジョン対応大型液晶TV(長ッ!)を購入したら、
家族に団らんが戻ってきたというのがあるが、なんか、絵空事。
あったとしても、家族それぞれ、レンタルしてきたブルーレイで映画を見るとか、
そんなものだろう。
うちだって妻がHD録画した映画、子どもはPCでニコ動、ぼくは2階のTVでお笑い番組を見ている。
いまだにオリンピックの年には、最新のテレビで。というTVCMをオンエアしているが、
で、近所の電器店へ買いに行く人は、実際、どれだけいるのだろう。


とかく「テレビ、新聞、雑誌、ラジオ」など既存マスメディアの凋落が激しく、
一方、伸張が著しいインターネット広告。マスメディアは、もうダメなのか。
って感じだけど、実際はどうなのだろう。
『グーグルに勝つ広告モデル』岡本一郎著を読むと、
いままでの果たしてきた役割、メディアの特性がすっきりまとめられてある。
さらに、これからの時代にあったマスメディアの体質改善法があれこれ考察されている。
これが応急処置なのかどうかは、まだ見えては来ないが。


ぼくが最もひかれたのは、11章。
ここで、作者は、公器としてのマスメディアの必然性を訴えている。
マスコミお得意の公器なんだけど、要するに、民主主義の拠り所であると。
世論の叩き台、プロトタイプ。そこには、右から左からさまざまな異なる意見が集まる。
ところが、インターネットメディアは、「自分が望む情報だけを効率的に収集」できるので、
やがて「同じ志向・好みの人たちだけで閉鎖的な集団を作る」。
すなわち無数の孤立した島宇宙と化し、「アノミーに陥る可能性」があると。
オープンネットワークとかいいながら。
作者は、ウイキペディアにも手厳しい。


マーケターも(というか、みんなだと思う)いままでの引き出しでやれたが、
それが通じなくなってきているようだ。
「広告が効かなくなった」時代を迎えて、どう頭を切り替えるのか。
『明日の広告』佐藤尚之著が、クリエイターへの指南書なら、
こちらは、もう少し間口が広い。


誉めといて最後にハシゴを外すかもしれないが、
この本を読んでも「グーグルに勝つ広告モデル」は、出てこない。
自分で考えろ。と、いうことか。
あるいはコンサルタントである作者に相談しろなのか。


クルマのTVCMビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』が使われている。
スキャットだが。ふと聴きたくなって、CDを聴く。名盤。
ググッたら、歌っているのは、土岐麻子だった。


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