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虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官伊藤計劃著を読了。
裏表紙には「近未来軍事諜報SF」って表記されているけれど、
読んだ感じでは、翻訳物の冒険小説っぽいテイスト。あまりSF臭はしない。
もっと具体的に言うなら、冒険小説という容器に、作者の問題提起を織り込んだって感じ。
学者なら、論文や論考をものするが、作者は一編の小説に仕立てた。
浦沢直樹の『MONSTER』にも似ているような。


ドーキンスありいの、ピンカーありいの、タイトルに「器官」を使っているのは、
ドゥルーズか、ラカンか。
そのあたりをリソ−ス(ネタ元)に、うまく会話などに咀嚼させている。
リアリティを与え、物語の世界を巧みに構築している。
文章もかなりシビレさせる。こんなとこ。


「「ホロコーストにも、カチンの森にも、クメール・ルージュにも、ぜんぶに
それは張りついている、って。虐殺が行われる場所、意図された大量死が発生する国
…そういうところには、いつも『匂い』があるんですって」」

人をホロコースト行為に駆り立てるのは、DNAなのか、ミームなのか。
アプリオリなのか、アポステリオリなのか。
生態系保持のための人為的淘汰。


「ぼくらの体にも物歴(メタヒストリー)があるといいのに、と肉片を見ながら
考えたのを思い出す。ぼくらの体が、細胞ひとつひとつまでタグづけされ、
メタ情報を持っていれば、こんなふうにパズルで頭を悩ますことはないだろうに」

悩み無用の、かなりの個人情報がタグづけされ、筒抜けの管理化社会の方が、
楽っちゃ楽かもしれない。でもなあ。


まったく関係ないけど、日本シリーズでMVPになった中村ノリ
ヤクルト古田前兼任監督は
メジャーへ行った岩村の後任にしようとした。
だけど、球団の上が首をタテに振らなかった。中村がヤクルトのホットコーナーを守っていたら、
もう少し成績はよかったかもしれないし、古田監督も継続したはず。
「たら」「れば」だけど。


昨夜遅く来た修正原稿を送る。こんなに直したのは、記憶にないが、ボツよりはマシ。
来週から始まる仕事のスケジュール表がメールで届いた。


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