- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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なんとなくそろそろ連休前というのに、無言の仕事先が数社ある。
怖くて、こちらからとても聴けやしない。
メールで来ていた対談の構成・ライティングの依頼を勢いで引き受けてしまう。
音声データ起こしから…。
『日本という国』小熊英二著を読む。映画『太陽』とも偶然だけど、リンクする。
子供向けの本というふれこみなんだけど、
いつものようにクールつーか理詰めの、情け容赦ない文章。
あ、言い回しがメチャクチャか。
なら、日本や日本人という対象を徹底的に突き放して記述している。
っていうのは、いかが。
二ヵ所引用。
「福沢のいうには、人間社会には、二種類のあり方しかない。
一つは、「農民の子どもは農民」ときまっていて、平民は無教育にとどめ、
支配者だけが知恵をもっている、身分制の「東洋」の国。そしてもう一つは、
一般人も教育して心身を発達させ、自分の欲望を追求するために
他人を蹴落としながら自由競争をし、経済成長をする「西洋の国」。
そして「西洋」の国は、どうしても欲望の拡大に精神の発達が追いつかないから、
不平不満がたまり、ついには植民地を求めて「東洋」の国を侵略するようになる」
西欧の植民地になりたくなければ、「日本は「東洋」であることを
やめて「西洋」になる」しかない。結果、そうなった。
喰うか喰われるか。束の間、喰う方になれたのだ。
富国強兵の根幹となったのが、教育と軍隊なわけで、
いま再制度疲労を起こしている教育と軍隊(防衛省か)を再生しようとしているのかな。
夢をもう一度。あの素晴らしい日本をもう一度。
○降伏を引き延ばした不幸
「−略−一九四五年二月、元首相の近衛文麿が天皇に降伏交渉を始めることを進言した。
しかし、天皇は、「もう一度戦果をあげてからでないと
なかなか話は難しいと思う」と述べて、それを拒否した。
この時点で戦争をやめていれば、三月の東京大空襲も、四月からの沖縄戦も、
八月の原爆投下も、ソ連参戦やその結果としての朝鮮半島の南北分断も、
なくてすんだはずだった」
イッセイ昭和天皇なら、口をモゴモゴさせてどういうのだろう。
それと、この一文は、かなり中身をはしょり過ぎている気がする。
あとだしジャンケンのような。「ほんまか〜」と、ツッコミたくなる。
そんなことをいうなら、はなっから長びけば勝ち目はないとわかっていた
第二次世界大戦(太平洋戦争)なんてしなきゃよかったのだ。
東西対立や冷戦について知りたいお時間のある人は、ちょっとこちらを。
冷戦 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「脱亜入欧」の強烈なしっぺ返しを受けている現在。
この本を読むと、なぜそうなのかが見えてくる。
わかりやすくするために、あえて、はしょるれるところは、はしょった。
その物足りなさが残る。勝手な注文だけど。
「愛国心とは何ですか」「美しい日本とは」など改めて、著者に尋ねてみたい。