- 作者: 早川良一郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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『さみしいネコ』早川良一郎著・池内紀解説をさくさくと読了。
感想は、めっけもん。
表4でいみじくも池内センセイが「こういう人こそ本当の教養人といえるだろう」と
記述してあるが、確かにそうだ。
作者はサラリーマン生活を淡々とこなし、エッセイなどを書き出したのが50歳過ぎてから。
50歳の手習いというわけだが、そこそこのユーモアがぼくのようなオサーンにはたまらない。
作者は六本木生まれのシティボーイで麻布学園からロンドン大学遊学と
帰国子女の草分けのような人だから、
そこはかとなく漂うシャイなかつての東京っ子ぶりがたまりませーん。
この本に編まれたのは、退職後の心構えのようなものが大半なんだけど、
けしてエリートサラリーマンではなかった作者の処世術が結構、身に沁みる。
団塊の世代にはない洒脱さ、粋というものがある。
安岡章太郎や山口瞳のエッセイが好きな人ならOK。
英国留学の作者はやはり吉田健一には魅了されたとのこと。
1991年に物故されているが、大のパイプ好きの作者が
もし現在、存命だったら高まる嫌煙権にとのようなことをエッセイに認めるのか、
読んでみたい気がする。