従から主へ

会社コンプライアンス―内部統制の条件 (講談社現代新書)

会社コンプライアンス―内部統制の条件 (講談社現代新書)

『会社コンプライアンス 内部統制の条件』伊藤真著を読む。
作者は高名な司法試験塾「伊藤塾」の塾長で、昨年12月に取材した大学でも
その塾に通っている学生がいた。


ぼくがはじめてコンプライアンスという言葉を知ったのは、
外資系の証券会社のWebのテキスト書きの仕事だった。
7〜8年ほど前だったろうか。
ノートに「コンプライアンス」とメモして、
帰宅してからgooかなんかで検索して「法令遵守」という表層的な意味を知った。
それからだ。コンプライアンス関連の言葉が次々と出て来るようになったのは。
コーポレートガバナンスCSRステークホルダー、リスクマネジメント、JSOX法…。
単なる日本語というのか、クイズの解答的知識はあっても、
具体的なものは正直言ってうろ覚えだった。
いままでは金融やセキュリティのIT方面からの仕事でなんとなく覚えたが、
この本は法律的な視点から捉えられているところが斬新で、しかも、わかりやすい。


「会社は株主の者だと」と欧米流のやり方でやってきた人が、
ちょうどいま裁判になっているが、
作者はなんでもかでも欧米、正しくはアメリカか、そのやり方が日本に適しているのか
疑問を投げかけている。同感。
一箇所引用。

「これまでも従業員という言葉を使ってきましたが、「従業員」、
すなわち「業務に従っている人」という捉えかたは適切ではないと思います。
つまり、従っているのではなく、自分が主体です。
従業員という言葉は今日的でないと思います。
 ですから内部統制についても、統制される側ではなく、自分たちが統制する側なのだと
意識する必要があります。力を持った経営者が道を踏み外さないように、
従業員が統制していくこと。これも重要な内部統制の一つなのです」


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