切った貼った

完全独習 統計学入門

完全独習 統計学入門

といっても物騒な話じゃなくて。原稿の切った貼った作業が、今週も続く。
編集系は長距離走に似ていて、最近はすっかり慣れてきたけど、
そんな合間に、広告系の仕事を依頼されると、こちらは短距離走
違った筋肉を使わなければならないので、切り替えが意外と大変。
年齢のせいか、敏捷性ははっきりいって衰えてきている。
ベテランの投手のように玉を早く見せる投球術でカバーするしかないのだが。


『完全独習 統計学入門』小島寛之著を読了。
この本は「統計学の超入門書」と銘打たれている。
カイ二乗分布の登場」までは、なんとなく頭に入った。
つってもさわりの部分、ごく表層部分を読んで、理解できた程度。


たとえば選挙のときの出口調査。なぜ少ないサンプルだけで全国の選挙の結果が
ある程度予測できるのか。それは統計学に則っているからだそうだ。
ランダム・サンプリング(無作為抽出)は名前だけは見たことがある人もいるはず。

「「データをたくさん観測すると母集団にものすごく近いヒストグラムができる」
この仮定を「ランダム・サンプリング(無作為抽出)」の仮定といいます」

1を聞いて10を知る。木を見て森を見る。が、あり!なのね。

ええと、作者の「おわりに」ここを引用するのがいちばんいいかな。

統計学の論理にはある種の「飛躍」がある、ということでした。
−略−推測統計の方法論は「部分から全体を推論する」という「帰納法」です。
これは数学という完全無欠の「演繹法」になじんだ筆者には、
「飛躍だらけの論理体系」に見え、これを受け入れるためには、
慣れ親しんだ思考法からいったん頭を切り換えなければならない、と悟ったのです」

「「もしも注目している不確実現象が正規分布だと見なせるなら、正規分布
性質を利用して、なんらかの予言が可能になるのではないだろうか」。
そう、この予言は全く正しいのです」

正しい予言だって。でも、ちゃんと数式で導き出されるのだよ、かなりの精度で。
この「ある種の「飛躍」」ってなんだか魅力的。


作者は、味噌汁の味見を引き合いに出してうまく説明している。
何気なく人は、おたまですくって小皿などにあけてひと口飲んでは、味の確認をする。
鍋いっぱいの味噌汁を飲まなくとも。
もっとも、味噌がちゃんと溶けていないと、ダマになって沈んでいたりして、
味見が失敗することだってあるけれど。


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