- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (45件) を見る
子どもの通う中学でもノロウィルスが流行りつつあるようだ。
ヤバくねえ。子どもの前の席の男子が、突然、授業中に嘔吐したとか。
先生は吐瀉物をすかさず、すくったそうだが、先生、うつらないか。
消毒してないのか。ハイターとか塩素系のがいいそうで、売れるんじゃないか。
なんだかちょっと前まではゲボカゼとかいっていたようだが、
ノロウィルスと立派な名前を聞くと、怖さもひとしお。
マスク、手洗いぐらいしかこれといった予防策がないとは。
寝転んで『うらなり』小林信彦著を読む。
長くないんであっという間に読めてしまう。
夏目漱石の『坊っちゃん』の出て来るうらなりにスポットをあてた作品。
いいなづけのマドンナとは別れさせられ、九州の学校に転任されられるが、
その後の人生は、平凡のようでありながら、それなりにドラマは起きている。
見合いもうまくいかなかったが、結婚して子どもにも恵まれる。
山嵐こと堀田との再会。うらなりから見た坊っちゃんの理解不能な無鉄砲さ。
ヤマ場は、大阪の商家に嫁いだマドンナとの再会。
生活に追われたマドンナはかつての輝きを失っていた。
風采のあがらない代表選手のような、元祖非モテ系キャラのうらなりに、
なぜ作者は魅かれたのだろう。
結末を読んで、この作品に流れている生きることのほろ苦さの度合いがぐっと増した。
時代考証も作者ならではのこだわりで綿密に行われ、
堀田と会う東京ステーションホテルのシーンは、なんともいえずいいムード。
随分前、仕事帰りに誘われて、そこの階上にあるバーでマティーニを飲んだことがある。
常連のおじさんたちで混んでいた。
川端康成や松本清張の常宿だったホテルだが、現在は休業中。