待つ男

コレラの時代の愛

コレラの時代の愛

『コレラの時代の愛』ガルシア・マルケス著、読了する。
半世紀余りも女性を犬のように慕い続けていた男と慕われ続けた女の物語。
女性のほうは、別な相手と所帯を持って子や孫までいる。
けれど、時間を超越して愛は実るのか。


って、現代の時代設定だと「ありえねー」と口さがない読者からのツッコミを意識してか、
状況を「十九世紀後半から二十世紀前半に設定し」(解説より)、
コレラ、「電話、電信」などをはじめ、
いい意味での大時代がかった文学世界(小説装置)をつくり、読み手を誘う。
クラシックなんざんす。かなりゴシックホラーの香りもするが、堂々たる純文学。
愛もコレラもいずれも死に至る病だし、老いとかもかなりリアルスティックに
表現されている。
心身二元論的に述べるならば、身体は老いても、精神が老いていなければ、
若さは保たれるっていってしまうのはどうだろう。
そうは思いたいが、実際のとこはねえ。


かつて学生時代につきあっていた二人が、同窓会で再開して意気投合。
酔った勢いで、互いに家人に適当な理由をつけて、投宿することになる。
かつて彼は陸上競技の中距離選手だったが、
いまはせいぜい接待ゴルフをする程度で、逞しい筋肉は衰え、段腹、二重アゴ、
体重もかなり増えてしまった。
一方、彼女は、オトナの魅力が増し、輝いている。ダンナとは離婚寸前。
ベッドインして「いやん、電気を消して」と永井荷風の小説のような
セリフを吐いたのは、男の方だった。
と、知り合いから聞いた話を思い出した(一部脚色あり)。


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