クモの糸

系統樹思考の世界 (講談社現代新書)

系統樹思考の世界 (講談社現代新書)

昨日は表参道から銀座線に揺られて田原町まで。浅草は降りたことがあるが、ここははじめて。
地図の読めない男なもんでカッパ橋近くまで行って、ここじゃないことに気づいて、引き返す。
どうせこうなることは想定済みで、しばし、古い建物を探訪しつつぷらぷら歩く。
通り沿いは新旧のビルが入り乱れているが、一歩入れば、昔ながらの商家や町屋も、現役。

仕事依頼のメールをくれた人とは、メールなどのやりとりはしているが、
お目にかかるのは結構久しぶり。
この本の企画を立てた担当編集者から書籍全体の企画意図をレクチャーされ、
担当するページの説明と資料の有無、スケジュールなどをうかがう。
しばらく行きつけの図書館が特別整理期間で使えないのが痛い。

なんだか雨が上がり気温が上昇したせいか、夏物のジャケットでも蒸し蒸し。
なもんで『系統樹思考の世界』三中信宏著もろくすっぽ読み進めず。
中吊りや車額広告に目を通す。

ただ、移動中に目を見開かされた箇所があったので一応、引用。

それは「二十世紀前半の時代に」「国際的な注目を集めた」「早田文蔵の動的分類学」。
「動的分類学の根幹は、森羅万象の存在物が織りなす高次元ネットワークにあります」
「体系学にとっての“ツリー”や“ネットワーク”は研究対象のモデルで」ある。
「早田は、この世の万物が形成する網状ネットワークを踏まえた分類体系こそ、「自然な関係」に
基づく「自然分類」であるという確信を抱いていました」
「そもそも早田がこのようなネットワークをそもそも思いついたきっかけは、
天台宗華厳経の教義をたまたま知ったからだと論文中に書いていることです」

早田のネットワーク図が掲出されているのだが、「遺伝子(子丸)をつなぎあわせる線」が
ワトソン・クリックのDNAの二重らせん構造をイメージさせる。
科学と宗教の抜き差しならない関係。

ええと南方曼荼羅とか、湯川秀樹中性子理論も発想の原点に宗教があったはず、うろ覚え。

あとは、“ツリー”でいいのかと。Webでおなじみのツリーなんだけど、
こういう風にきっかりと分岐していくのは、わかりやすいが、ひねくれもんにとっちゃ面白くない。
たぶん、グズグズでオーバーラップしているわけで、グラデーションだろが。
“ネットワーク”の網状でそれがレイヤーになっているほうが、ぼく個人としては納得できる。
ま、単なるモデルの好みになってしまうかもしれないが。

その網を編み上げていくことが編集で、
きみもぼくもみんな人生というクモの巣(Web)をはりめぐらせている。

で、今日は終日、準備と仕込み。
急ぎのコピーの修正も送った。