「愛はすべてを赦す」のか「愛はすべてを奪う」のか

 

中央駅

中央駅

 

 春一番にのって花粉が大量飛散。

対策をしても目、鼻がつらい。

山下達郎のサンデー・ソングブック
聴取率週刊恒例の蔵出しライブ音源。
いつも愉しみにしているが、
な、なんと『君は天然色』達郎カバーが聴けるとは。
ま、CDもライブも変わらない歌、演奏は知っているとはいえ、すごいっす。
未聴の人は、こちらで。1週間以内限定。
http://radiko.jp/#!/ts/FMT/20200223143845
 
 
『中央駅』キム・ヘジン著 生田美保訳を読む。
 
『中央駅』という大きな駅に流れ着いたホームレスの男。
唯一の財産をカバンに入れていたが、それを盗まれる。
盗んだのは女性で同じホームレスだった。
 
犯人を見つけた時、男は彼女にたいして殺意を抱いたが、
やがて恋人関係になる。
お互い名前も素性も知らない。
ただ駅で会える、ホームレスの恋人。

痛い、悲惨な恋愛。
はたから見ればそう見える。
彼女はアルコール依存症。体を壊している。
でも、アルコールを飲み続ける。
刹那的。明日や希望とかは無縁。
ひょっとしたら緩やかな自死かもしれない。
 
「ホームレス支援センター」のチーム長は、
男に救いの手を差し伸べる。
彼女と別れろとも。
 
部屋を借りる資金も融通してくれる。
やっと彼女との二人暮しができる。
ところが、男はその金を盗られてしまう。
 
「愛はすべてを赦す」のか「愛はすべてを奪う」のか。
不幸が連鎖してホームレスになった男と女。
「ホームレス支援センター」などのセーフティネットもあることはあるが、
手詰まり、出口なしの状態。
他人事じゃないと思える。
読み終えた後、ザラツキ感や苦さが残る。
 
レオス・カラックス監督の『ポンヌフの恋人』の映像を思いうかべる。
 
『娘について』の拙レビュー

soneakira.hatenablog.com