なり上がり大作戦

 

『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督を見た。
評判通りの映画だった。
 
ごみごみした下町の半地下に住む家族。高級住宅地の豪邸に住むセレブ家族。
夫はITベンチャー企業のオーナーか。
妻は当然、美人。料理や家事は苦手で前のオーナー時代からの家政婦まかせ。
 
まったく縁はないのだが、細い糸を伝ってセレブ家族を食い物にしようとする。
その仕掛けが実に巧妙。天才的ペテン師一家。
太陽がいっぱい』のトム・リプリーばり。
 
韓国での厳しい大学受験戦争は知られているが、
せっかく大学を出てもなかなかいい就職先につくことができない。
韓国文学好きなら百も承知のことだけど。
 
ギャップ(格差)は創作のネタになる。
ジェネレーション、ジェンダー、文化・風習、年収など。

この映画ではギャップ(格差)をはじめは風刺的ユーモアで表現している。
半地下の家族が底辺だと思ったら、
なんと地下の家族、正しくは夫婦が出て来る。
このあたりから、ホラーめいてくる。凄みをましていく。
セレブ家族の家政婦、邦画なら柴田理恵かな。

父親役のソン・ガンホはもちろん登場人物のキャラクターもよい。
 
計画がおジャンになって父親が息子に計画は立てるから失敗する。
計画しなければ失敗もない。と言う。
賛同できるし、できない。
 
希望を持つから失望する。希望を持たなければ失望もない。
というのもある。
やっぱり、これも賛同できるし、できない。

いろんな味が楽しめるブテチゲ(部隊鍋)のようなこってりとした作品。