玉ねぎが目にしみる

 

オーバーストーリー

オーバーストーリー

 

 

録音しておいた『村上ラジオ』を聴きながら、
玉ねぎ2個を粗みじん切りにする。
酢玉ねぎ用。
「こんばんは、村上春樹です。ぼかあ~、猫山さん」
今年マスターした物まね。
人前で披露することはないと思うが。
 
『オーバーストーリー』リチャード・パワーズ著 木原 善彦訳を読む。

リチャード・パワーズを読んでいるとモテると聞きつけ、
何作か読んだが、本作がいちばんしみた。
貴重な原始林、原生林を保護するためには手段を選ばない。
過激なエコ・テロリストたちの物語。

なんだけど、主役は森や巨木。
自然の描写が素晴らしい。知識もはんぱない。
脳内にうっそうとした原始林がそびえ立つ。
原文も訳文も良いからだろう。
 
樹木や森を巡る家族の歴史。
進化の過程を道筋立てたものを系統樹という。
ツリー図ともいうが、家系図もその1種類だし、
Webデザインの設計には欠かせないものだし。
 
親の世代から子や孫の世代へ。
耕作地や宅地開発などで
原始林は乱開発され減少の一途だった。
文明や文化は進化したと思えるが、
はたしてそうだろうか。
根底に流れているのは、サブカルチャーではなくてカウンターカルチャー
 
「訳者あとがき」で本書の参考書を3冊あげている。
 

「『樹木たちの知られざる生活―森林管理が聴いた森の声』ペーター・ヴォールレーベン
エコ・テロリズム―過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ』浜野喬士
『森の生活―ウォールデン』ヘンリー・デイヴィッド・ソロー

 

書名だけでもヒントになりそうだ。
アメリ先住民族、ソロー、 ヒッピー文化、『ホール・アース・カタログ』、
ディープエコロジー… 。

人間の祖先は外敵から身を護るため樹上生活をしていた。
登場人物たちも、樹冠(キャノピー)で暮らす。先祖帰り。

原始林は間伐材や枯れ枝などを伐採してはいけない。
枯れ枝を住処にする小動物がいるからだとか。自然のまま。
いわばそこで一つの生態系が完結しているわけだから。
 
風の谷のナウシカ』にも通底している気がする。
 
「根 幹 樹幹 種子」
章立てのタイトルもイカす。