鬱(うつ)るんです

 

セロトニン

セロトニン

 

 いつも通り過ぎている渋谷スクランブルスクェアに入る。

エレベーターは混んでいますというアナウンス。
エスカレーターに乗って、TSUTAYA東急ハンズをのぞく。

雨後のタケノコ状態の東急の高層ビル。
オフィスフロアは埋まっても
テナントフロアは今後どうなんだろ。
以前は何となく棲み分けができていたが、
何年か経つとそうなるのだろうか。
結局、宇田川町のハンズに行った。
ロングテールの品揃えとプロ店員の対応。
 
 
セロトニンが不足するとよく眠れなくなったり、不安に囚われたりして
鬱病の一因になりやすいそうだ。なんて端的な表題。

ウエルベックは「農業に関するエリート校」出身ゆえ農業や農薬にも造詣が深いのか。
理系の作家なんだ。と再認識。
 
世界的な農薬会社(モンサント)から「農業森林地方局」に転職した中年の主人公。
そこも辞めてしまう。
 
なんと日本人の恋人の前から逃げる。新たに住まいを借りて人目を避けて暮らす。
隠遁生活。隠居。どうした。
 
読むにつれて鬱度がひどくなる。ヤバい。色男(エロ男)ぶりはすっかり過去の栄光となってしまった。
親の資産でなんとかやりくりはできる。

地方に隠遁する。友人の管理するバンガロー住まい。
そこで「黄色いベスト運動」に遭遇する。
フランス農民が政府の農業圧迫の政策に武装ほう起した運動。
ニュース映像を見て勇ましいなと思った。
 
友人から銃の扱いを習ったり、どんどんブルーの濃度が濃くなる。
昔の恋人の住まいを高性能の望遠鏡で覗いたり、行動も奇怪になる。
昔の流行語で言うところの「ほとんどビョーキ」。

吉田 豪の『サブカル・スーパースター鬱伝』を読んだとき、
鬱ってそうなのかと思っていたが。
ま、特に男性は中高年になると鬱病でなくても鬱になりやすくなる。

ドラマ「まだ結婚できない男」の阿部寛扮する主人公の建築家の言動を見ていると
ウエルベックの小説のキャラとリンクする。
たぶん、あなたの周囲にも似た感じの人が一人ぐらいはいるはず。
かくいうぼくにもあなたにも、へそ曲がり、ブラック、意地悪、皮肉屋などの
似た部分はあるのだ。で締めようと思ったけど。
 
この一文、どーよ。引用。
 

「ぼくは、老いさらばえ、死にかけ、致命的な打撃を被った状態にあり、終の住処を探していた」

 

にしても、ここまで救いようがないとは。
枯淡の境地なんて最も似合わない作家だと思っていたのに。
もう小説は書かない、書けないとか言いそう。