アンソロジスト、芥川龍之介

 

芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚

芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚

 

 昨晩、渋谷・明治通りで見かけたハロウィンのコスプレは少なかったような気がする。


芥川龍之介英米怪異・幻想譚』澤西祐典・ 柴田元幸 編訳を読む。

かつて芥川は欧米のゴーストストーリーのアンソロジーを8巻出版した。
何せゴーストストーリー・オタクだったから。
今なら文学コミケでポーなんかのファンジンを出しているかも。

旧制高校の英語副読本」ゆえ英文のまま。
そこから「20の短編」を選び、翻訳した。
オールスターとも言える訳者陣。初訳も多い。
期待しつつ読んだが、いやはや。
 
芥川と英文学って結びつかないが、英語にも堪能だったとか。
文学の情報量やスピードは圧倒的に少なく、遅かったが、
英語など外国語に精通した作家は、
原書を読んでヒントを得たり、刺激を受けたり。
 
芥川の翻訳も掲載されている。
翻訳なんだけど、読んでいるうちに芥川の小説に思えてくる。
最後に短篇が。『馬の脚』。
これにはぶっ飛んだ。
作者名を隠してのリーディングテストを行ったら、
筒井康隆円城塔、宮内 悠介あたりの名前が出てきそう。
 
ぼくが好きなのは。
『追い剥ぎ』
ダンセイニ卿著 岸本佐知子
繰り返される「風がびょうびょう吹いていた」の一文にはまった。

ほんとに寒さを感じる。
『秦皮(とねりこ)の木』
M・R・ジェイムズ著 西崎憲
魔女の木だそうだが、とねりこは、やはりバットの木。往年の野球漫画ファンなら熟知のこと。
 
『スランバブル嬢と閉所恐怖症』
アルジャーノン・ブラックウッド著 谷崎由依
ヒッチコックの短編映画みたいな味わい。
 
『大都会で』
ベンジャミン・ローゼンブラッド著 畔柳和代著
掌編。樹村みのりを思い出させる。
 
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