BOGIWAN

 

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

 

 


関係者の皆さま方、ご無沙汰しています。
急ぎのコンペ、頓挫したネーミング、もめているスローガンなどありましたら、
何卒、よろしくお願いします。
誠心誠意ご対応します。

『ぼぎわんが、来る』澤村伊智著を読む。
第22回ホラー大賞大賞受賞作品だから面白いんだろと思ったら、
これがよくできている。
作者プロフィールに
岡本綺堂を敬愛する」と記されているし。
 
この作品はラーメンでいうところのダブルスープ。
一つは、化け物「ぼぎわん」の由来と怖ろしさを
民俗学文化人類学のネタをぶちこんで伝奇小説風味。
諸星大二郎ファンなら必読。
 
もう一つは主人公の男性の自称イクメンぶりの本音と建て前。
大学進学で地方から出て来て、就職。
やっとできたカノジョで非モテにバイバイ。
結婚して子どもが生まれ、マンションを購入する。
不動産会社のCMに出て来るような幸福ファミリーのはずだった。
 
ところが、妻は育児ノイローゼ気味。
夫のイクメントークも的外れでさらに負荷がたまる。
読んでいて妻の本音が結構、ビシビシ刺さる。
二つがあわさって絶妙な味わい。実に達者。
 
ギスギスしたすき間風の吹く家族が好物のぼぎわん。
こいつが厄介。
 
イクメン夫の周囲で異変が起こる。
怖いっす。『へレディタリー 継承』なみ。
 
脇もいい。
イクメン夫の同級生の民俗学助教、オカルトフリーライター
その彼女は霊感が強い。つーかユタの家系。
その姉。

映画化、すぐできんじゃんと思ったら、はは、とっくになってました。
 監督・脚本:中島哲也『来る』。
そーか、まったく知らなんだ。
予告編の動画をどーぞ。
なるほど、原作の世界をよくつかんでいる。
 
自転車で近所のツタヤかゲオへ行かなくちゃ。
ハリウッドで映画化するなら「BOGIWAN」だろ。