風に誘われて

 

南の風 (朝日文庫)

南の風 (朝日文庫)

 

 


昨日、『ワンス・アポン・ア・タイム・ イン・ハリウッド』を見に行く。
タランティーノ監督の新作。
団塊“年金もらい逃げ”の世代が多くて、暇な大学生はちらほら。
まとまればレビューに。
 
『南の風』獅子文六著を読む。
 
旅をする時、駆け落ちする時、夜逃げする時、
北か南かで印象は随分と違う。
個人的な感想だけど、
北は寒い、涼しい。忍ぶ恋や都落ちって感じ。
一方、南は開放的。
南はオプチミストで北はペシミスト
 
男爵の子息でプー太郎が主人公。
とりあえず外遊でもしてみようかと内緒でシンガポールへ。
そこで現地の農場だ働こうとする男と知り合いになる。
主人公は東京へあえなく送還。
 
妹の同級生に好意を抱いているが、
なんともお坊ちゃん気質。
 
両親のふるさと・鹿児島へ行く。
鹿児島の風景、人々、食べ物、焼酎など
そこでの生活が思った以上に気に入る。
 
好きな女性は銀座のはずれでおでん屋を切り盛りしている。
父親の株の売買が好調な時は、華族の通う女学校に通学していたのだが、
左前になって現在に至る。

勝気な彼女も心の奥底ではプー太郎にまんざらでもないようだ。
 
偶然、シンガポールで会った男と再会する。
男は「仏印ラオスに砂金の河」があると言う。
取りに行こうと誘う。眉唾な計画にのる主人公。
義経は殺されないで北に逃げ延びてチンギス・ハーンになった伝説がある。
同様に鹿児島の英雄・西郷隆盛西南戦争で自刃せずに南に渡った伝説があるとか。
その「ご落胤」の来日に苦心する主人公。
 
ドタバタ騒動が落ち着く間もなく
南へ向かう。
さて恋の顛末は…。
 
まばゆい光と濃い海など風景の描写。
鹿児島弁の会話。お見事。
 
ぼくも南へ逃げ出したくなった。