キューキュー

 

 

キュー

キュー

 

 


『キュー』上田岳弘著を読む。
 
いつも以上にまとまりのない感想メモ。
 
今日日「キュー」と言えば「9」。
憲法第9条。変えたがる動きがあるが。
これも重要なモティーフになっている。改めて引用。
 

「第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 


『キュー』は同音語が各章のタイトルになっている。
「急」「旧」「九」などで、全9章。
 

「知的生命体が進歩する途中には、避けては通れない事象が起きるものです。人類はこれをパーミッションポイントと名付け―略―18に絞っています。《言語の発生》、《文字の発生》、《鉄器の発生》、《法による統治》、《活版印刷》、《自律動力の発生》、《世界大戦》、《原子力の解放》、《インターネットの発生》、《一般シンギュラリティ》…」

 

なんとなくジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』をイメージしてしまう。
 
《一般シンギュラリティ》後の世界が描かれているが、
そこには過去、現在、未来が錯綜している。
 
ストーリーを紹介しても意味がない。
作者の構築した近未来に侵入して
そこがユートピアディストピアかをぼんやりと感じよう。
章ごとに展開される世界。終末論ぽいにおいが行間から漂う。
《世界最終戦争》とは。
 

そか、SFじゃん、これ。
たとえばフィリップ・K・ディックの新作だと思えばいい。
パースペクティブのあるシーンの連続。
ほら読みたくなったでしょ(ならないか)。

「私の中には第二次世界大戦が入っているの」

 

冒頭に出て来るセリフだが、読み終えた後にズシリと響く。