伝説をぶっ壊せ-2

 

マルコムX(上):伝説を超えた生涯

マルコムX(上):伝説を超えた生涯

 

 

 

マルコムX(下):伝説を超えた生涯

マルコムX(下):伝説を超えた生涯

 

 


記憶の新しいうちに。
マルコムX(上)(下) 伝説を超えた生涯』マニング・マラブル著 秋元 由紀訳の
感想メモ、その2。
NOIネーション・オブ・イスラム)の導師として布教活動に励んでいたマルコムX
やがてNOIと袂を分かつことになる。

NOIムスリム(イスラーム教徒)が増えることが第一義だったが、
マルコムはそこにとどまることはできなくなっていった。
しまいには、

アフリカ系アメリカ人の闘争を世界の黒人の闘争と結びつけよう」

 とした。それには暴力も必要だと。


宗教から政治の世界へ大きくカジを切る。
ていうか、もともとスピーチのうまさなど政治家的資質があったようだ。

いちばんわかりやすい例えは、プロレスかな。
NOIネーション・オブ・イスラム)というメジャーな団体があった。
そこで力をつけたマルコムX
ルックスや技などで人気レスラーとなる。
NOIはエンタメとしてプロレスをとらえているが、
マルコムXはガチンコで勝負したい。
やがて独立して自分の団体を立ち上げる。
なびくNOIの有望若手選手。
つぶしにかかる…。
 
マルコムは自身の命が狙われていることを知っていた。
アフリカ外遊で知り合った国のエライさんからも
庇護してもいいと言われていた。
しかし、彼は集会に出続けた。
覚悟の上だろう。殉教者というと宗教っぽい。
もっとアクチャル、もっと過激なイメージを抱くが。
そして演壇に立つ彼はショットガンで撃たれる。
 

「警察、国家安全保障組織、NOIの利害が一致していたこともマルコムの暗殺を実行しやすくした」

 

 
危険分子。国家権力はいわゆる内ゲバをあえてスルーしていたのだ。
 

「マルコムの死後のイメージのつくり直しを最初に始めたのはジャズミュ―ジシャンたちだった。1960年代にもっとも有力なサクソフォン奏者だったジョン・コルトレーンはマルコムの演説のスタイルとブラック・ナショナリズムという政治思想に深く影響された」

 

 
ぼくの好きなマッコイ・タイナームスリムだったことを知る。
 

「マルコムは国際的にも人種に関する議論と政治を変えた。アフリカ系アメリカ人指導者の多くが人種問題に関する連邦政府や州政府の政策を変えることで頭がいっぱいだった時代、マルコムは公民権闘争が米国で成功するにはそれを人権を求める国際的な運動に拡大しなければならないことを見通していた。議論の中心となるのは米国会議でもホワイトハウスでもなく、国連でなければならなかった」

 

 
 

「人種差別のない世界」

 を実現するために自ら捨て石になった。