娘帰る

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娘について (となりの国のものがたり)

娘について (となりの国のものがたり)

 

 

 

twitterイラストレーター河村要助の死を知る。
ニューミュージックマガジンの表紙や

ティト・プエンテなどサルサのレコードのジャケット。
とりわけニッカの黒の50というウイスキーのポスターがカッコ良かった。
湯村輝彦とともにファンだった。
レコードはとうの昔に売り払ったし、
身近にあった彼のイラストをガラケーで撮る。
小林信彦の『夢の砦』。
末期の『平凡パンチ』連載。

 

『娘について』キム・ヘジン著 古川綾子著を読む。

60代の母。「老人介護施設」のヘルパーで生計を立てている。
その住まいへ30代の娘が転がり込んでくる。
母親にとっては経済的、精神的に娘は自立したと思っていたのに。
しかもパートナーまで。


パートナーは女性。

LGBTの「L」だったわけで。
元教師の母とで当然、混乱、困惑する。

 

ぼくも同じケースに出くわしたら
理屈上(頭)ではわかる、多様性だの、ダイバーシティだのと。
でも、心情的に理解できるだろうか。
すぐには無理だろう。

 

母親はヘルパーで世話をしている身寄りのない入居者に
懸命にケアをする。

施設側はあくまでもビジネスライクなケアを求める。

娘は自己主張ばかりと思う母親。
パートナーが男だったら、義理の息子、婿という目で
最初はなじまなくても長年経てば身内になれるだろう。


パートナーの女性は、仕事や娘との軋轢で苛立つ母親を
あれこれねぎらう。拒まれるが。

 

届かない思いの先を入居者の女性に向ける。
転園される彼女を自宅に迎え入れる。

 

娘に起きた大ケガ。それは偏見によるもの。

救いようがない苦い小説。


そのほろ苦さが沈んでいたものを撹拌する。
文学ど真ん中のどストライク。

母と娘とパートナーはわかりあえる日が来るだろうか。

 

血縁、地縁などが主だった日本の家族制度も
崩壊しつつある。
ネット縁などによる新しいつながりが出て来ている。

 

ペドロ・アルモドバルあたりの映画が好きな人には、ぜひ。

 

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