ライフ八苦

 

四苦八苦の哲学──生老病死を考える

四苦八苦の哲学──生老病死を考える

 

 

『四苦八苦の哲学 生老病死を考える』永江朗著を読む。

「四苦八苦」は
「仏教のことばである。四苦は生・老・病・死の4つの苦しみ」。

 

本書は「死・病・老い・生」の章立てで
その章に関連する哲学者の著作を引きながら
ゆっくりと考える構成。

西洋哲学と仏教のアライアンス。

 

現代人は検索して即座に物事をある程度は知るが、
考えるまではいかない。
知ることと考えることは違う。

 

両親の死や持病、自身の老い。
これは誰しも経験すること。

結婚祝いよりご霊前、ご仏前を出す場合が
圧倒的に多い。

 

ぼくもPPK(ピンピンコロリ)が理想の死に方なのだが、
どうもコロリよりピンピンの方に
力を入れる高齢者が多いようだ。

 

糸井重里がつくった西武百貨店のキャッチコピー「不思議大好き」は、
昨今のパワースポットブームにも該当する。
ピンピンにこだわる高齢者は「不死身大好き」なのだろう。

 

延命措置は望まないつもりだが、
実際そういう段階になってみっともないが
延命措置をお願いするかもしれないし。

 

新聞や週刊誌を読むのは、若者より元気なアクティブシニアなのだろう。
ゆえにサプリメント、健康食品や運動器具などの広告の多いこと。

アンチエイジング
と聞くと若作りのジジ・ババを思いうかべる。

 

QOL(Quality of Life)にはあえて死に方がスポイルされているような気がする。
でもホスピスや緩和ケアは QOLか。
ぼくの母は抗がん剤を望まず、ホスピスモルヒネによる緩和ケアを受けていた。

 

「四苦八苦」を考えると宗教、哲学、医学の領域が重なる。

 

最後に作者はこれからは「ひらがな哲学」を考えたいと述べている。
哲学は難しい横文字や漢字が多くて、とっつきにくい。
インテリゲンチャの知的アクセサリーという感もあるし。

「ひらがな哲学」というとぼくは鶴見俊輔を第一に挙げるが。

 

個人的にはレヴィナスバタイユ
もっと紙幅を割いてほしかった。

「アンチ・アンチエイジング」とかあおるようなタイトルにすればいいのに。

 

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