痛快ウキウキ読書

 

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

 

 

 

田×都×線の新型車両、なぜか、家畜臭い。
乗っている人たちがほんとは、
スーツを着た豚、セーラー服の牛。
馬が動力なのだろうか。


『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(上)R.P.ファインマン 大貫昌子訳を読む。

 

技術などほとんどのものは文化的遺伝を継承しながら
改良されるのが歴史だろう。
ところが、ある日どこからともなく
とっぴょうしもないアイデアや論が出て来る。
過去のステップを踏んでないから
理解できない。とんでも理論に思える。

でも、それが正しいと認識され
ブレイクスルーにつながる。

 

固定観念や常識にとらわれない。
本に書いてあることを鵜呑みにしないで
自身で試してみる。

天災ではなくて天才は忘れた頃にやって来る。
ファインマンもその一人。

 

(上)巻では幼年時代から
物理学を目指す大学時代、研究者、教授になるまでの話。

 

ラジオ好きの工作少年だったファインマン
セールスマンの父の影響からか
何でも実験や観察など自分で実証してみないと気が済まない質。
アルバイトの仕事も業務改善、ほんとは楽できるシステムを考案する。
すべてがうまくいったわけではないし、
大人である経営者には理解してもらえなかった。

 

「MITは確かにすばらしかった。しかしスレーター教授が僕に他校の
大学院をすすめたのは賢明だったと思う。そしてこの僕もやっぱり同じ
ことを学生たちに忠告している。若者はすべからく広い世界に出て、外を
見てくることだ。事物の多様性を知ることは大切なことだ」

 

勉強以外に就職にも言える。
ファインマンの文系履修法や回答が独創的でブラボー。

原爆研究で作者はオッペンハイマー以下第一線の物理学者と出会う。
読んでいてわくわくする。
コンピュータの生みの親の一人、ジョン・フォン・ノイマンもいた。

 

「このとき、我々が今生きている世の中に責任を持つ必要はない、
という面白い考え方を僕の頭に吹きこんだのがフォン・ノイマンである。
―一部略―それ以来というもの、僕はとても幸福な男になってしまった。
僕のこの「積極的無責任さ」の種はフォン・ノイマンが播いたのである」

 

責任やモラルなどは斬新な理論やアイデアには邪魔なだけ。
まずは、考えてみる。停まっている理論を走らせる。
できてから考えよう。
たとえば抜群にキレる包丁ができた。
料理をおいしく時短にするメリットもある。
でもそれで人を殺せるデメリットもある。
原子力も同様。

 

植木等にならって
「世界一の無責任男」というタイトルを考えたが、
誤解されし、ノーベル賞受賞者に対して名誉棄損になりかねないので却下。

 

痛快な読後感。
若い人、特に小学生、中学生に読んでもらいたい。

 

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