最寄り駅に日替わりで区議会議員候補が立っていた。
早い者勝ちのシステムなのだろうか。
『ニムロッド』上田岳弘著を読む。
主人公はIT会社で社長の思いつきで
新設のビットコインのマイニング担当にさせられる。
つき合っている女性はバツイチの昔の言葉で言えばキャリアウーマン。
それと鬱を患って実家のある名古屋に転勤した男。
仕事よりも3回連続最終候補になりながら小説の新人賞を逃したことが要因。
ビットコインのマイニングといても掘っているんじゃなくて
コンピュータが取引を認める台帳付けをせっせと行って
そのご褒美にビットコインがもらえるもの。
転勤した男は「駄目な飛行機コレクション」をメールしてくる。
主人公の名前はナカモト タケシ。
ビットコインの発案者タケシ・ナカモトと同じ名前。
社長の言葉。
「通貨はさ、資本主義というシステムの根本にあるものだ。その通貨に協力するんだよ?それがシステムサポート以外のなんだっていうんだ?」
彼女の言葉。
「世界は、どんどんシステマティックになっていくようね。システムを回すための決まりごと(コード)があって、それに適合した生き方をする、というかせざるを得ない」
そこにある空虚さ。うつろな日々。
転勤した男は生き方のテンプレートとしてサリンジャーの名前を挙げる。
マイニングは結局、うまくいかず
ビットコインをフォーク(分岐)させて新しい仮想通貨をつくることに。
どことなく雑誌『東京ウォーカー』あたりをイメージさせる世界。
おしゃれな空間、生活。でも、クールというよりも低体温な人物たち。
現実と仮想、オフラインとオンライン、肉体と精神。
人とて遺伝子コードによって成り立っているわけだし。
深いため息をつかせる。
ローファイヒップホップが似合う作品。
「僕はニムロッド、人間の王」
高いビットコイン バブルの「塔」から何が見えているのだろう。
サリンジャーの『ナインストーリーズ』柴田元幸訳を
引っぱりだした。
連休中に読むとするか。