『そっと静かに』ハン・ガン著 古川綾子訳を読む。
音楽をテーマにしたエッセイ集。
小説や詩を書くのは作品を通して知っていたが、
作詞・作曲までするとは。
作者が幼い頃から耳にしていた音楽の思い出を書いている。
クラシックから韓国の民謡、流行歌、
アメリカのポップス、ビートルズ。
ラジオやテレビから突然、なじんでいたメロディーの一節が流れると
ノスタルジィに不意打ちされて困る。
父親も高名な作家だそうだが、
作家になった当時は生活も苦しくて
ピアノはおろかピアノ教室へ通うことも口に出せなかった。
紙の鍵盤で演奏した話がしみる。
作者が大学時代に聴いていたビートルズの『Let it be』。
子どもと一緒に聴いたときの微笑ましい光景。
『Let it be』は、ぼくが中二で洋楽とラジオの深夜放送に
目覚めた頃のヒット曲。
「悲しみや苦しみの中にはありのままに話そうとすると、その人の体を
粉々に打ち砕いてしまうものもある。だからといって胸の中に抑え込んでおくといつまでも引きずるから、方法は一つだ。リズムに合わせて歌うこと。セザリア・エヴォラの歌を聴いていると、そんな気になる。この人は
こうやって人生を乗り越えていくんだな」
(「耳をすます」―BondadeeMaldadeより)
繊細でやさしいが、時には声高ではないが、
社会への怒りや抵抗も感じる。
取り上げられている韓国の流行歌やポップスを聴きたくて
YouTubeで探したが、見つからなかった。
公式サイトで自作の詩と小説の朗読や歌まで聴ける。
http://www.han-kang.net/archive/sound
ずうっとスクロールして下の方。
안녕이라 말했다 해도
「さよなら」と言ったとしても
作詞・作曲・歌 ハン・ガン
12월 이야기
12月の物語
作詞・作曲・歌 ハン・ガン
思った通りの繊細な歌声。大貫妙子や寺尾沙穂系。
エイミー・ワインハウス系は似合わない。