AMラジオ放送がNHK以外聞けなくなる日が来そうだ。
TBSラジオの『アフター6ジャンクション』。月金で3時間の生番組。
録音でも聞くのはつらいと思ったが、
CMや交通情報、天気予報、通販などなどを抜くと正味90分程度か。
そう思うと不思議と聞けるもの。
リチャード・ドーキンス著 大田直子訳で
紹介されている「分子進化の中立説」の提唱者、木村資生が気になった。
論文はとても理解できないので何か入門書はないかと探したら、あった。
で、『生物進化を考える』木村資生著を読む。
まず文章が読みやすい。進化の総論を知ることができる。
知ってるつもりで知らなかったことが多々ある。
「脊椎動物の骨というものは、まず体表をおおう板として出現し、やがて頭の中へ入り込んだ骨ができ、続いて体の心棒となってこれを支持する脊椎に進化していった。振り返ってみると、骨格なしにはさらに進化した脊椎動物の出現は不可能だったわけで、それはもとをただせば外敵から身を護るための甲冑である」
「肩甲骨は翼のなごり」というが、脊椎と脳の進化が人類に繁栄をもたらせた。
ディズニーアニメの『ファンタジア』だと思うが、ネズミのような 人類の先祖が
恐竜に怯えながらもやがて攻略するシーンが頭をよぎった。
「最近、ドーキンスは『盲目の時計師』と題する著書で、生物が神の設計によるものだという説明は間違いで、自然淘汰の下での進化によって生物のからだの複雑性や合目的性が立派に理解できることを、手をかえ品をかえ、説得している。ここでいう盲目の時計師とは自然淘汰のことである」
短い文章で過不足ない感想。読んだのだが。
「中立説では、これら分子レベルで初めて検出される多型的変異は自然淘汰に中立、またはそれに近いもので、突然変異による新生と遺伝的浮動による偶然的消失との釣合いによって集団中に保たれていると考える。中立説によれば、これら遺伝的多型は分子進化の一断面にすぎない」
「突然変異による新生と遺伝的浮動による偶然的消失との釣合い」ここに「淘汰論者」がかみついたそうだ。
「相反する方向に働く平衡淘汰により超優性」が残ると。
いいものだけが残る。そんな自然淘汰の考え方は時代遅れだとか。
1988年刊行の本だから「分子生物学」もそれこそ進化しているのだろう。
最後のあたりで「優性」、「遺伝子操作」や「地球外知能」にも、ちょっと言及している。こちらも考えさせられる。