『リンカーンとさまよえる霊魂たち』ジョージ・ソーンダーズ著 上岡伸雄訳 を読む。
幼い息子を亡くして悲嘆にくれるリンカーン大統領。
夜ごと息子が眠っている墓地を訪ねる。
リンカーンの悔やみや悲しみが磁場となったのだろうか。
往生できない霊魂たちを引き寄せる。
霊魂たちのキャラクターの設定がバツグン。
と思うのは表紙のイラストレーションに
引っぱられているせいかも。
生き生きと描かれている霊魂たち。
って、やっぱり変かな。
妖気よりも陽気と書いた方がしっくりくる。
生への未練などがたらたら。
浮遊霊たちが各々、不幸な身の上話をする様子は
断酒会、AAなどを思わせる。
霊魂たちのおしゃべりがシナリオのように書かれている。
違うな。掲示板のカキコミもしくはチャット感覚で書かれている。
このスタイルがポップ、新鮮で面白い。
テンポやスピードを与えている。
通常のスタイルでセリフを書いても途中で飽きてしまうだろう。
要所要所はちゃんと小説の通常のスタイルを取っている。
落語の幽霊噺にもつながる。
百物語なら、怪談を百話終えると霊魂や物の怪が現れるそうだが、
霊魂たちが仮に百話終えたら
何が出るのだろう。
降霊会なら…。
きりがない。