体重は増える、年収は減る。
血圧は上がる、代謝は下がる。
逆だと言いのに。
ミュリエル・スパーク祭、今回はこれ!!
『寝ても覚めても夢』ミュリエル・スパーク著 木村政則訳を読む。
主人公は、やり手の映画監督、トム・リチャーズ。
新作映画をめぐるドタバタと
監督の大ケガ、女優との浮気。
駆け出し女優の娘の謎の失踪など、
スクリューボール・コメディタッチで展開する。
粒の黒コショウをコショウ挽きでガリガリと挽いたような
ブラック・ユーモアもたっぷりと。
いまだに映画は一種のバクチのようなもの。
当たると大金が。当たらないと退勤が。
撮りたいものを撮ろうとすると
横やりが入る。
脚本が決まるまでの苦しみ。
撮影に入ってからの脚本の変更。
俳優の途中降板。
クランクアップするまでの生みの苦しみ。
完成しても俳優の不祥事が起こると
お蔵入りだし。
監督は現場の天皇みたいなものだけど、
だからと言って女優がみな、なびくわけではない。
昼も夜もタフが売り物の監督も
大ケガをしてからは、不調。
敵が味方で、味方が敵で。
ドロドロした人間関係を書くのが、
ほんとにうまい。
映画スタッフをシネマクルーと言うらしいが、
トム・リチャーズ号の航海の前途は波乱万丈。
行方不明となった娘の顛末も、結局、笑える。
海外の人気ドラマが好きなあなたなら、はまるはず。