再毒

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

 

急ぎの音声データ起こしをしている。
完全に自動で音声を文字化できるようになるのはいつだろう。
そこそこできるらしいが、
アナログ人間は時間がかかっても
キーボードで入力する。

しかもノーブラインドタッチ。

元祖イヤミスの女王
『11の物語』パトリシア・ ハイスミス著  小倉 多加志訳を読む。
長篇のトムリプリーシリーズが有名だが。
アラン・ドロンの『太陽がいっぱい』の原作。
とことん人間の罪深さやイヤな面をさらけ出す作風は、
はまるとクセになる。

 

さて『11の物語』は短篇集。
同じカテゴリーに勝手にしてしまうが
ミュリエル・スパークの短篇は
ブラックだけどまだユーモアがある。
パトリシア・ ハイスミスはユーモアのかけらもない。

 

デビュー作『ヒロイン』は、ざらつかせる私小説
新しい父親との葛藤。

 

『すっぽん』は、母親が食用で買ってきたすっぽん。
それの愛着を覚えた男の子。
母親は食材とみているのだから当然、料理する。
ペットのように思っていた男の子はショックを受ける。
ほら、昔、地方都市で放し飼いにしていたニワトリが、
祭りかなんかのご馳走でしめられる。
鶏すきを見て号泣する子ども。
号泣ならばいいが、すっぽん男子は報復に出る。

 

かたつむりがテーマの2篇。

『かたつむり観察者』は、かたつむりマニアの悲惨な最期。
小動物が大量繁殖して人間を襲うというホラーのテーマ。

もう一つは『クレイヴァリング教授の新発見』。
今度は巨大なかたつむりが生息する島へ行く教授。
発見者の名声と名誉を目論むが。
エドガー・アラン・ポーを彷彿とさせる。

 

ここで悪評高いフロイト精神分析論から引用。
かたつむりは女性器のメタファーだそうだ。
と、すると女性に襲われたい一種のマゾ願望か。

 

『野蛮人たち』
暴力をテーマにした話。
一方的にルール違反をしている若者たち。
結果的に暴力で対抗して蛮行は終わったかに見えた。
しかし、何食わぬ顔で同じ行為を続ける。
話してもわからない世界。
よくあるシーンが、作者の手にかかると
恐ろしくてイヤなシーンになってしまう。

 

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