千々に乱れる

地球にちりばめられて

地球にちりばめられて

 

『地球にちりばめられて』多和田葉子を読む。


生まれ育った島国が消滅して世界に散った同朋たち。
ぶっちゃけポスト日本沈没の世界。
国は思い出で残るが、
使うことのない母国語は
いつしか国と同様に消滅してしまうのか。

 

自転車や水泳はしばらく体験していなくても
すぐにできるようになる。
なら言葉はどうだろう。

 

デンマークの「メルヘンセンター」で「移民の子ども」向けに

紙芝居を披露する日本人の女性が、

主人公、一応。

 

出自の異なる登場人物が
自分語りする。

それぞれの関係性がわかり、
意外な関係も。

 

国や人種こそ違え
生き方が似ている、価値観が似ている。
そっちの方がむしろ仲良くなれるのかもしれない。

 

国、国籍、言語、
人種って何だろうと思わせる。

 

sushiはそのまま世界で通じる言葉になったが、
外国で数ある寿司店は、日本人が経営者ではないとか。
そりゃそうだろ。ケチつける気はない。
日本でもカレー店や中華料理店、韓国料理の店のオーナーは
圧倒的に日本人の方は多いわけだし。

 

本作ではダシがキーワードになっている。
結局、中止になった「ウマミフェスティバル」。
欧米でのダシブームは、
削り節の原稿を書くとき、知った。

 

ドイツ暮らしが長い作者は
ドイツ語で文章を書くときは、
いきなりドイツ語で考えるのだろうか。
でも、小説は日本の文芸誌に発表するのは日本語だし。

 

その昔、ヨーロッパへ旅行に行ったときは、
その街のチャイナタウンやチャイニーズレストランが
ヘビーローテーションだった。
和食の店ってほとんどなかったか、
あってもたぶん高級店。貧乏ツーリストには分不相応だった。



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