降る降るサギ

あなたの自伝、お書きします

あなたの自伝、お書きします

 

積もるかと思った雪。
大したことなくて。
長靴はいて近所に買い物に行った時が、
いちばん激しかった。
雪というよりも氷を細かく小さく削ったような感じ。


『あなたの自伝、お書きします』ミュリエル・スパーク著 木村政則訳を読む。
著者の長編、初読み。

作家志望の女性が主人公。
「自伝協会」に勤務して自伝書きのヘルプをする。
作家志望ゆえ校正にとどまらず改稿、いいや書き換えも
考える。

日本でも自伝の自費出版商法が問題となったが、
洋の東西を問わず、
人は功なり名を遂げると
自叙伝、自分史を書きたがるものらしい。

 

主人公は勤務の合間に小説を書いているが、
その作品と瓜二つの事件が起こる。
デスノート』ならぬ『デスノベル』か。

 

書き上げた原稿は出版不可となり、
その挙句、原稿が紛失する。

ドタバタ、ジタバタ。
彼女は消えた原稿を取りもどすために
秘密諜報部員ばりの活躍をする。

 

にしても、何やら怪しい「自伝協会」の人たちや
出入りする人たちのスノッブぶり、俗人ぶりってどーよ。
奇人の貴人、奇行の貴公子。
P・G・ウッドハウスよりも
イーブリン・ウォーの系譜にある笑い。
魔夜峰央のギャグにも通じるなあと思うのは僕だけ?

 

紅茶とダイジェスティブビスケットのご用意を。
暖炉に新しい薪をくべさせて。


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