タイチョウワルオ

 

すべての、白いものたちの

すべての、白いものたちの

 

このところのハンドルネーム:タイチョウワルオ。

 

『すべての、白いものたちの』 ハン・ガン著    斎藤真理子訳を読む。

白いもので綴った断片、つーか散文詩
詩人であり、作家でもあるのだからお手のもの。

 

詩といったが、作品によっては
欧米人のつくったHaiku俳句を日本語に翻訳したようなものもある。

 

はじめに白いものたちをあげて
それぞれの話を仕立てていく。

 

自分の子どもの頃、母のこと、子どものこと。

生まれ育った韓国と旅人で訪ねたポーランド
やさしく、やわらかく、温度の低い文体で
作者が見た今なお留めるポーランドの戦禍。

 

アラン・レネ監督、マルグリット・デュラス脚本の
『24時間の情事』を思い出す。
似てはいないのに。

 

この本でサビの描写が出て来る。
ナタリー・サロートを思い出す。
似てはいないのに。

 

白と言えば雪のイメージが強い。
ぼくは雪国出身ではないが、
雪はそこそこ降った。
雪の話が記憶の底をかき回し
忘れていたことが浮かび上がる。

 

白地で艶のあるマット調の紙。
というと、みすず書房の本を思い出す。
似てはいないのに。

 

絵説きにならないモノクロ写真が
イメージの触媒となる。

 

ロラン・バルトのエッセイ『偶景』にも通じる。
こっちは灼熱のモロッコだし。
 似てはいないのに。

 

一度読み終えたら
次は思い出したように
ページをシャッフルして
開いたところを読み返せばいい。
 
あえてネットに掲載した訳者あとがき 。
『すべての、白いものたちの』への補足(どうぞ、読み終えてから目を通してください)
http://web.kawade.co.jp/bungei/2484/


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