でも、犬は吠える

ガルヴェイアスの犬 (新潮クレスト・ブックス)

ガルヴェイアスの犬 (新潮クレスト・ブックス)

 

ここ数日、珍しく根を詰めて原稿書き。
最後の1本を予定より1時間30分遅れで送る。

『ガルヴェイアスの犬』ジョゼ・スイス・ペイショット著
木下眞穂訳を読む。

1984年1月」ポルトガルの平和そうな小さな村に
突然、「巨大な物体」が落下。
村人ははじめはパニくるが、
じき無かったことのように振る舞う。
でも、犬は吠える。

落ちてくる「巨大な物体」から俯瞰する村。
ってブリューゲルやヒエロニムス・ボスとかの
描き込まれた物語性の高い、情報量の豊富な一枚絵を思い出す。
でも、犬は吠える。

俯瞰した村から個々の家にカメラは寄っていく。
窓越しから、ドアから。
住人たちは饒舌。
すべての住人の話を再録したいのか、作者は。
でも、犬は吠える。

時は移って「1984年9月」。
「巨大な物体」の巨大な穴はそのままだと思うが、
村人はそれよりも自分たちの開いた穴、開きそうな穴の方が
気になる。
でも、犬は吠える。

村、村人たちの地縁、血縁。
それはうざくてありがたいもの。
悲喜こもごも。
昔のままこれからも変わることなく、変えることなく
生きていく。
でも、犬は吠える。

祖母が亡くなったときの田舎のにぎやかな葬儀を思い出す。
でも、犬は吠える。

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