ダントツ

鯨 (韓国文学のオクリモノ)

鯨 (韓国文学のオクリモノ)


近所のユニクロへ。
仕事用の白のポケット付き半袖シャツ、
ボタンダウンじゃないの、を買う。
このタイプが少なくて。
ついでに旧モデル(売れ残り)のステテコが
500円だったので買う。
履いてみたら快適。
クールビズに認定しろよと。
あとは丸メガネのにちょび髭、眼鏡、
カンカン帽と腹巻、ゲタをはいたら往年の植木等だ。
こりゃまた失礼いたしやした。

『鯨』チョン・ミョングァン著 斎藤真理子訳を読む。
面白さでいったら最近読んだ小説ではダントツ。
荒唐無稽。アンチ・リアリズムの権化。
楽しくなければ小説じゃない的スタンスで
話が走る、走る。広がる、広がる。
音楽でいうところのグルーブを感じる。
愉快、痛快。

主役は女性たち。母は商才があって男好きのするタイプ。
恋多き女だけど起業家の才もある。
敵が多くて味方が少ないタイプ。
娘は真逆。口がきけないけど偉丈夫(って男性なんだけど)で怪力。
でも職人気質。

母がヤクザの親分といっとき恋仲になる。
ヤクザの親分にとって永遠の恋人は京都の芸者。
このくだり、タランティーノが思い浮かぶ。
芸者役は梶芽衣子、当然。

わらしべ長者ではないが、
母が機を見るに敏で
ニュービジネスをはじめて成り上がっていくあたりが
気持ちいい。
例えば良質の煉瓦をアピールするために
線路沿いにばらまく。
すごいサンプリング(試供品無料配布)だ。
最後がどうなるのかは、読んだ人だけ知っている。
ま、トランスジェンダーぶりが今風。

これでもかと出てくるキャラがみなクセがあって
サブストーリーもふくらむ、ふくらむ。
例えば蜜蜂を意のままに操る片目の少女とか。
これだけでも物語が成立する。
もっと脱線しろと読みながら思う。
読んでいてデフォルメされた身体、肉体、精神が
劇画ばり。神話ばり。講談ばり。
バリバリだろ。そだね。

魚加工所、劇場、茶房、煉瓦工場、刑務所…。
建物が重要な役割を果たしているあたりは、
ゴシック小説風味もある。

「訳者あとがき」で作者が大の映画好きを知る。納得。
この小説を映像化したらどえらい制作費がかかるなあ。
誰が監督。テリー・ギリアムかな。
いっそのこと、アニメ―ションというのもある。

だまされたと思って一読を。
脱帽。

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