重たい

どきどき僕の人生 (新しい韓国の文学 7)

どきどき僕の人生 (新しい韓国の文学 7)


ネットニュースで知った死刑執行。
こまわりくんのギャグ「死刑!」の画像が
twitterに氾濫しているかも。
ネタが古くてわからないか。
重たいものを感じる。
嫌な感じ。
うまく言葉にできないが。

『どきどき僕の人生』キム・エラン著 きむ ふな訳を読む。
主人公は17歳。ただし早老症なので肉体的には老人。
両親が17歳の時にできた子ども。
生活は豊かではなく入院費の工面にもひと苦労。
「同情するなら金をくれ」ではないが、
テレビ番組の特番に出ることで
入院費などを捻出する。
本意ではないが、こうするほかになかった。
いわゆる難病もののお涙頂戴とは違って
主人公のみずみずしい感性が捉える世界。
彼は両親に自分が生まれたことなどを聞く。
君臨する母方の祖父をはじめ
親族の濃いキャラクターの面々。
彼の青春は病室の狭い空間に存在している。
しかし親には青春はなかった。
否応なしにも青春を犠牲にして子育てしてくれた。

ひょんなことから同年代のメル友ができる。
彼女も病んでいる。
彼の世界は広がる。
しかしネットにありがちな顛末が。

彼は彼女に『リリィ・シュシュのすべて』のサウンドトラック
『Glide』を添付ファイルで送る。
そうか。岩井俊二の映像世界にもリンクしているのか。
病状は進行する。
入院中にときどき小説の断片をパソコンに入力していた、彼。
最後に掲載されている。
そのタイトルが『どきどき僕の人生』。
ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』の
読後感にも似ていると思った。

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