土地への思い

野蛮なアリスさん

野蛮なアリスさん


妻と娘は東京蚤の市へ。
いつものようにぼくと猫は留守番。
猫はいないけど。

『野蛮なアリスさん』ファン・ジョンウン著 斉藤真理子訳を読む。
都市計画、都市再開発という街殺しがテーマ。
ソウル市内の一角が下水処理場になる。
そこには貧しい人々が住んでいた。
「女装ホームレス、アリシア」もその一人。
彼(彼女)が語り部もしくは土地の霊媒師となって
失われた土地の歴史を蘇らせる。
ちょっとグロい描写もあるが人間の原始的なたくましさを感じさせる。
小説というよりも長い散文詩って感じ。

何度も書くが、渋谷の街が全身整形中。
高層ビルがぼこぼこ建っている。
わかりにくい通路。
京都も江戸も風水でつくられたそうだが、
守り神なき現代の都市計画。
清濁併せ持っているのが都市の魅力だろうが。

衛生的ではない環境。
汚れた飲料水。
イヌ鍋がごちそう。精がつくソウルフード
シャレじゃなくて。

都市再開発で土地を売る場合、
当たりくじとはずれくじがあって、
人生を大きく狂わせる。
日本がバブルの頃、
東京・下町の猫の額ほどの土地が億近くになった。
喜んで売ってたとえば田園都市線方面の奥地に
瀟洒な戸建を買う資金になった。
いまは飛び込み自殺の名所となっているが。

松本大洋の『鉄コン筋クリート』あたりが好きな人に。

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