霧と偽霧

 

昨日は羽毛ふとんと毛布を干したのに。
今日は天気予報どおりに雨。
ま、ずっと記事を書くからいいんだけど。

『霧のむこうに住みたい』須賀敦子著を読む。
いきなりウジ虫いりチーズの話から入る。
長野でハチノコやザザムシは食べたことがあるけど、
ウジ虫チーズは食えるだろうか。

 

街、食べ物、人、本。
すべてが過去の記憶。
なのに鮮明。

「ふりかえると、霧の流れるむこうに石造りの小屋が
ぽつんと残されている。自分が死んだとき、こんな景色の
なかにひとり立っているかもしれない。ふと、そんな気がした。
そこで待っていると、だれかが迎えに来てくれる」

 

 


敬虔な気持ちにさせられる。

霧でふと思い出した。
昔、テント会社のカタログの仕事で伊豆ロケに
同行させられた。
季節は秋だった。
朝のキャンプのシーンを撮るのだが、
霧がほしい。
黒澤明みたいに霧待ちはできないので
カメラマンの助手が発煙筒をたいて
森を歩き回った。
たちこめる白煙。
後日、あがった写真は
見事なまでに霧のたちこめた朝のキャンプ場だった。

 

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