まぶしい光、熱い風。
どうにも眠いんでエアコンをつける。
『コルシア書店の仲間たち』須賀敦子著を読む。
文庫版の表紙に使用されている舟越桂の木彫像は覚えているけど。
まとまったものを読むのははじめて。
ミラノの教会の片隅にあったコルシア書店。
留学生だった著者も遅れて一員となる。
そこで伴侶とも出会う。
コルシア書店は本を売るだけではなく出版も行っていた。
そこに出入りする面々は、
階級もキャリアも国籍もまちまち。
一種のコミュニティ、心のよりどころとしての
出来事が何十年後に書かれる。
30代と年齢的には若くはないが、そこは青春だったのだろう。
理想はすぐ現実に引き落とされる。
ほろ苦い日々。
スタートアップしたがうまくいかず
行き詰まったベンチャー企業みたい。
コルシア書店の政治思想が大家の教会から反感を買い、移転。
書店名も変えて再開するも。
貴族など上流階級とそうじゃない階級との格差。
すでにいた移民。
確かにイタリアは第二次世界大戦で敗戦国になったが、
文化や伝統の奥底は、強固なまでに変わらなかった。
中でもユダヤ系の少女がドイツ人の男性と結婚する話が印象深い。
しかも彼はヒトラーに容貌が似ていたと。
親の嘆きは深い。
こいばな(恋の話)もなんだか名作映画を見ているよう。
作者の観察眼には敬服させられる。
他の作品も読んでみよう。