姪ストーム

ウインドアイ (新潮クレスト・ブックス)

ウインドアイ (新潮クレスト・ブックス)


メイストームと入力したら姪ストームと変換した。
田舎から上京した姪が
巻き起こす珍騒動みたいな話のタイトルにいいかも。
昨日、あまりに蒸し暑くエアコンをつける。
扇風機を押入れから出して組み立てている最中に、アクシデント。

『ウインドアイ』 ブライアン・エヴンソン著 柴田元幸訳を読む。
不条理 カフカ、ポー、ポール・オースター
ヌーヴォーロマンにも通じるような。
テイストの異なる短篇集だが、
コンセプトは一貫している。
ぼくって誰。ぼくって何者。

推理小説の始祖といわれるポーの系譜にあると思われる作者。
この本にもミステリー風味の作品がある。
でもミステリーではないと。
長めの引用。

推理小説というジャンルは、ひとつの認識体系にしか属さない。
知ることは真実を明るみに出すことであり、知をめぐってほかの考え方を
導入しようとしても、つねにジャンルに変調をきたす結果しか招かない。
我々としてはせいぜい、ある犯罪が解決不能と見なされ、何も知らされず
理解もされない地点に行きつくことが望めるのみである―周りの世界を
理解するうえで自分の認識体系がまったく無力であるにもかかわらず、
その認識体系に探偵が頑固に、執拗にしがみつく状態に。
だからこそ私は、私に推理小説をいまだに書いていないのである」

(『知』より)

 

 

殺人犯が特定されないミステリー。
真犯人が明かされないミステリー。

 

なぜやったんだという動機や
加害者と被害者の因果関係などを重んじるが、
現実にはそうではない事件も多々起きている。

ほら2時間もののテレビのミステリー番組なら
最後の15分あたりで
主人公の探偵や警部や刑事などが
真犯人と殺人の手口や動機を解明する。

こういうスタイルにならされていると
謎が謎のまま終わられると
欲求不満を覚える。

 

小説もそうだ。
でも、そうじゃないことを著者は教えてくれる。



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