闘う女の肖像

女子プロレスラー小畑千代――闘う女の戦後史

女子プロレスラー小畑千代――闘う女の戦後史


予定していた原稿依頼が遅れているのか、
諸事情でなくなったのか。
これ幸いと仕事関連本を詰め込む。

『東京ポッド許可局』でプチ鹿島が紹介していた
女子プロレスラー 小畑千代』秋山訓子著を読む。
さすがに知らない。赤城マリ子以降だもの。
当初は完全にきわものショー扱いだった女子プロレス
ミゼットプロレスと女子プロレスの興業のポスターを
子どものときに見たのを覚えている。

女子プロレスをショーから格闘技へイメチェンさせたのが
小畑千代だ。
生まれついての運動神経の良さ。
根っからのストロングスタイル、気風の良さは、
読んでいて小気味よい。
生い立ちからはじまり
女子プロレスラーになるまで。
テレビ中継されるなど成功を収めるが
その後誕生した新たな女子プロレス団体。
時流に呑まれることもなく
ひたすらプロレス道にまい進する。

力道山に冷遇された話。
浅草の親分に可愛がられた話。
地方巡業で興行主にギャラを確実にもらう手立て。
いい話がてんこもり。
日本女子プロレスの伝説の松永兄弟のことも
ちらと書いてある。

しかーし、肉体の衰えは技ではカバーしきれない。
所属団体も短命で
しまいには自身でプロレス団体の経営も考えるが、
現役レスラーの道を選ぶ。
腕の良い職人が管理職の依頼を断るように。
80歳を越える今でも引退生命は出していない。
三社祭でお神輿を担ぐために筋トレを欠かさない。

読んでいてここまで痛快になった本はない。
井田真木子の『プロレス少女伝説』とは
真逆の本のように思えるが、
ポジとネガ、表裏一体なんじゃなかろうか。



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